第一章 石灰岩のなかの微化石

 「 サンゴ礁が化石になった石灰岩には、有孔虫などの小さい化石(微化石)がたくさん入っています。微化石の成分などを分析してサンゴ礁ができた当時の水温などを調べることが、私の研究テーマの1 つです」。そう語るのは、GEOMILL326 の発明者であるJAMSTEC 地球内部変動研究センター(現在:海洋・極限環境生物圏領域)の坂井三郎 研究員である。しかし、石灰岩はかたく、そのなかに入っている50μm ほどの複雑なかたちをした微化石を取り出して調べることは、非常に難しい。これまでは、顕微鏡下での手作業や、旋盤(ミクロトーム)を使って石灰岩ごと薄くスライスして分析するしかなかった。「どうしても石灰岩から微化石だけを効率的に取り出して分析したかった。それができる装置がないのなら自分でつくってしまおう、と考えたのです」


 それが2001 年。JAMSTEC に採用されたばかりの坂井研究員は、島根大学汽水域研究センターに常駐して研究を進めることになった。そこで、米国アリゾナ大学から客員教授として来ていたデビッド・デットマン博士と出会う。「彼も以前、微小な領域を削ることができる装置、マイクロミルを自作していたことから意気投合。アドバイスを受けながら構想を練りました。このドリルと、あの顕微鏡、あのカメラを組み合わせたらいい、といったアイデアは出せるのですが、それをどう制御して動かせばいいかがからない。ソフトウェアの開発で行き詰まってしまったのです」


 そこで坂井研究員は、ソフト開発を依頼できる会社を探した。「顔を合わせて頻繁にやりとりがしたかったので、島根県限定。しかし、心当たりはありません。インターネットや電話帳でソフト開発をやっていそうな会社を調べて、ひたすら電話をかけまくりました」。そして、「ここだ!」と決めたのが、いずもWeb 社。「ホームページを制作している小さな会社でした。分析装置のソフト開発とは無縁。でも、こういうシステムをつくりたいといったら、すぐに試作して持ってきてくれた。それが、いい感じで動いたのです」。その後、「こんなふうにできないかな」「やってみましょう」と、何度もやりとりを重ねた結果、1 年後にはGEOMILL326 の原型ができ上がった。「大満足の出来でした」


第二章 2005年,はじめての公表

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